2010年7月21日水曜日

グリーンクリークからバージニアレイクへ

7月4日はご存知アメリカの独立記念日。
アメリカという国はそもそも祝祭日が少ない上に、国を挙げてみんなでそろって休むという日がこれまた少ない。

ほぼ全員が休むと言ったら、

5月のメモリアルデー。
7月4日の独立記念日。
9月のレイバーデー。
11月の感謝祭。
12月のクリスマス。
元旦。

これだけではあるまいか。

というわけで、貴重な7月4日は今年土曜日だったので、月曜日が振替休日の三連休。
今年初めてのバックパッキングに行ってまいりました。
去年の今頃は「もう4回目〜」とか言ってたのに、今年はほんまにぼよよんですわ。

行ってきましたのは、ヨセミテの東側をちょいと北に上がったところ。
グリーンクリークという登山口から入り、バージニアレイクまで13マイル(21キロ)の道のり。
これを2泊3日でというのだから、けっこうのんびりハイクです。
入山許可をもらうのはトイヤベ国有林のレンジャー・ステーション。

トレイルは花々がうれしいうれしいとおしゃべりしながら咲き競っているというごきげんな歩き出し。
特に目立ったのは、この黄色い花。ミュールズ・イヤー(ロバの耳)という名前の花です。























葉っぱの形がロバの耳のようなのでこの名前なのですが、このロバ耳が、ふかふかと柔らかいので別名がマウンテン・トイレットペーパー。






















ね、やらかそうでしょ。


なんて楽しく歩いていたら、ほどなく着きました。
今夜のキャンプ地、グリーンレイク。8,967フィート (2,733メートル)。

















シエラの湖はやっぱりいいわ〜。

テントを設営した後は思い思いに午後を過ごす。
昼寝する人、行水する人、釣りをする人、写真を撮る人。(総勢4名)

















のん気な釣り師。






















と、その釣果。
ブルック・トラウトという種類のトラウトだそうです。
ごちそうさま。

今宵のメインディッシュは焼きそば。





















こちらもうまかったっす。


明けて翌朝のグリーンレイク。



















テントをたたんで出発です。

今年の冬は雪が多くて、雪解けが遅かったので、あちこち急流だらけ。


















こんなふうに渡れるところはいいけれど、流れがあふれて大きく迂回しなければならない場面も何度も。
ま、それもハイキングの楽しみということで。
ただし、地図の読めない私のような人間ばかりでは、こんなに迂回してたらどこにも辿り着けなくなっていたでしょう。
ついつい読める人に頼って、読もうという努力もしなくなってしまった。。。反省。
とにかく今回は地図とコンパスが活躍してたなあ。

ま、そうこうするうちに出て来たのはイーストレイク。9,465フィート (2,885メートル)。

















いやー、ここもまたきれいやった〜。

















のんびりと泳ぐトラウト仲良し3兄弟。
いや、親子?
いや、三角関係?
全然のんびりしてない?
なんてことを考えるのは人間の勝手。
トラウトさんたちはもちろんそんなこと全然関係なくただ泳いでるだけなんでしょうなあ。

さらに歩いて、流れを越えて、迂回して、カメラ落として引き返して拾って(山男)、ああでもない、こうでもないと地図を検討して(山男と隊長)、やっと今日のキャンプ地フーバーレイクに到着。9,846フィート (3,001メートル)。

















そしてお昼ごはん。


















昼食後、ここでものんびりする時間がたっぷりあったので、釣り師にお付き合いして湖一周しながらただぼよよんと湖や山を眺める。

こういう自然に囲まれてると、意識がうろうろして考えの焦点が定まらなくなる。
この景色をどういうふうに呑み込めばいいんだか、頭の中でデータ処理がうまく行かなくなる感じ。
ただ美しいと思えばいいのか。
この景色の中に私の居場所はあるのか。
貪欲に自分のものとして抱え込みたいのだけど、到底抱え込めるはずもなく、なす術無し。
と、ボーゼンとしてしまうのも山歩きの常。

そしてまた日が暮れて夜が訪れる。
キャンプではたいていまだ日が暮れ切らないうちにテントに入って朝までぐっすりなんてことになるので、星空を見逃してしまうことが多い。

でもこの晩はラッキーなことにトイレに行きたくなって夜中に外に出た。
が、しかし。
悲しいかなコンタクトレンズを外してるので見えないのよね〜、星が。

ところがそんな頼りない目にも分かるぐらい星が近くに見えた夜でした。
流れ星。
天の川。
ちゃんと分かりました。

そしてまた日が昇り夜が明ける。
この日、前半はほとんど雪の中。

















小さい水たまり的な湖はまだ凍っています。

トレイルも雪に覆われているから、またもや地図だのコンパスだの。
道なき道を、雪の上を進むのじゃ。




















いや、時々ホントに怖いですよ、こういうとこ歩くの。
でも、怖いと自覚しながら歩くのがいいのですね。
一歩一歩間違いないように歩いて行くというのが。

こないだ台所で踏み台に乗り損ねてスッ転んだヤツがいましたが(一瞬「未亡人」という文字が頭をよぎった)、山以外のところでも一歩一歩気をつけて踏み出していただきたいものです。

山から帰って処理しきれないぼーっとした頭で読んでいた本、『何もなくて豊かな島』。
「フィリピンの小島カオハガン島を買ってしまいました」という内容の本。
島を買ったって言っても住民350人ももれなく付いて来て、そのままいっしょに住んでいるという豪快なようで繊細な計画を立てながら島暮らしを営んでいる崎山克彦さんの著書。(例によってBook Offの1ドルコーナーにて入手)

その中の一節。

島にいると、ふっと自然の中に吸い込まれてしまう「時」がある。
(中略)
そうした時,自然の大きさ、美しさ、不思議さの中に、自我が吸い取られてしまう。(107ページ)


たいてい読書はストーリー優先なので、こういう部分はさらっと気づかずに読み飛ばしてしまうことが多いけど、今回は山で抱いた思いとこの文章がかっちりと響き合ったという感じ。

そうそうそうそう、そうやねんよねえ。
吸い取られてしまうのよねえ。
そうか、そういう風に心得ればよいのか。
あれは、自我が吸い取られる時間。
無理に処理しようとするのは所詮無理な状況。

よ〜し!
というわけで、山への心構えがまた新たになったことでもあり、さあ、次へ行くぞ〜〜!
と言いたいところですが、何か今年は巡り合わせが悪いのかなかなか山へ行くということにならない。
平地にいてもいつまでも気温が低くて夏らしくないし。

ううううう、そろそろ山禁断症状が。。。。。

何もなくて豊かな島―南海の小島カオハガンに暮らす (新潮文庫)何もなくて豊かな島―南海の小島カオハガンに暮らす (新潮文庫)
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4 件のコメント:

  1. 星野道夫さんの世界だねー。

    「自我が吸い取られる」ってステキな表現。

    ウチの小さい畑じゃ吸い取ってくれそうもないっす。

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  2. いやいや、orihimeさんとこは日常が大自然で吸い取られっぱなしでしょう。

    上手に吸い取られるためにはそれなりに自我の持ち用を鍛えておかなければならないのかな、なんてね。

    星野道夫さん、いまだに読んでないって悲しいわ、私。でも人気作家のものはなかなか1ドルコーナーに出てこないからねー。

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  3. こちらは酷暑で毎日ヘロヘロなのですが、涼しい、鏡のような水面を見せていただいて、有難うございました。
    心が吸い取られるような世界へ行って見たいですー。って歩くの苦手な私です。

    こちらで失礼! ピザストーン入手いたしました。
    ・・・がしかし、300度に熱して生地をのせるのが至難の業。 だってあの生地やわらか~いのですから。 今まで1度も成功していないのですよー。(涙)

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  4. totoさん、

    こっちは憂鬱な冷夏でして、今週はずっと長袖です。
    ピザストーン、そうなんですよねえ!!
    私も入手したんですが、本当に生地の移動がムリ!
    こうなったらなんだか割高だけどピザピール(柄の付いた薄いまな板みたいなもの)を入手しなきゃいけないか,、、と思っています。
    また情報交換お願いします!

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